[2020.04.21] アルビBBスポンサー企業 紹介企画 第1回 ダイニチ工業編 part3
第1回 ダイニチ工業株式会社 part3/5
Part1「知ってるようで知らない?ダイニチ工業ってどんな会社?」はこちらから
Part2「ダイニチ工業の工場へ潜入!」はこちらから
・加湿器誕生秘話
イ) ダイニチ工業さんというと恐らく石油ファンヒーターのイメージが強く、暖房機器と比べると加湿器は冬物という点以外に共通点はなさそうですが、石油ファンヒーターの技術が加湿器に活かされている部分があるのでしょうか。
田村)まず、加湿器も石油ファンヒーターと同様、室内の風の流れを重視しています。室内の湿度や温度を検知して、快適な環境にコントロールする点など共通する部分も多いです。
イ) しっかりとファンヒーターと技術が活かされているのですね。
小出)その他の製品として、コーヒーの生豆を焙煎できるコーヒーメーカーの「CAFEPRO(カフェプロ)」、二酸化炭素を発生させてビニールハウスでイチゴなどの発育を促す光合成促進機、またアルビBBの会場でも登場する発煙用機器(スモークマシン)などもあります。こうした製品も石油ファンヒーターで培った技術を水平展開したものです。
(石油ファンヒーターの温度制御技術を活かして生まれた焙煎機能付きコーヒーメーカー(左)、コーヒー豆焙煎機(右))
(イチゴ栽培のビニールハウスなどで活躍する光合成促進機)
(ライブやエンターテイメントの場で欠かせないスモークマシン)
イ)そうした製品も作られているのですね。まず技術があり、その技術をどう社会に活かすことができるのかという印象を受けます。市場規模を見てこれが売れそうだ!といった判断ではないということですね。
小出)もちろんそれも考えます (笑。
いろいろ検討しますが、製品を使う方にとってメリットが少ないもの、売れそうだからとか人気だからといった製品は却下されます。
かつて空気清浄機を作っていたこともありました。石油ファンヒーターの背面に空気清浄機を取り付けた製品があり、それを空気清浄機単体として製品化して販売しました。
市場規模もありますし、実際に欲しいという販売店さんもいましたので、4,5年販売を継続したのですが…。
イ) うまくいかなかったのでしょうか。
(工場の階段にある標語「改善の基本精神十箇条」)
小出)はい。空気清浄機は家電メーカーさんの力が強く、毎年新しいモデルが出ています。その中で当社は、毎年新しいモデルを開発するという部分に力を割けずに、数年間同じモデルを継続していました。当社の空気清浄機は、他社の新しいモデルの中で相対的に陳腐化していきました。
また、本当に効果があるのか?という声も社内から出てきました。汚れはとれているようだが、部屋中の空気が本当にきれいになっているのか?という疑問もあり、効果がハッキリと分からないものは辞めようということで現在は作っていません。
イ)そうしたチャレンジもあったのですね。今ではそうした挑戦や振り返りを経て、よりダイニチ工業さんの芯が固まった印象を受けます。
小出)はい。そうかもしれません。
その点、加湿器は湿度計を見れば数値でハッキリと違いが見てとれます。
田村)ユーザーアンケートでも加湿した実感を非常に高く評価していただいています。それまで使っていた他社の加湿器よりも室内湿度の数値が上がるのが速く、何より加湿されていることが実感できるという声をたくさんいただいており、数値でも感覚値でも評価されているのかなと考えています。
(2019年度グッドデザイン賞を受賞した加湿器
2019年12月 「アメトーーク!家電芸人スペシャルでも紹介されました」)
イ)自分たちができること、できないことをしっかりと認識し、できることを愚直に行うことがダイニチ工業さんの根っこにあるのですね。
田村)失敗を繰り返して余計なものをそぎ落としていったら、残ったものがそれだったという感じです。
田村)当社の経営理念にあります、常に新しい技術を生み出すこと、本当に新しい技術を生み出すというのはなかなか難しいですが、同業他社と同じようにやっていては新しいものではないので、何かしら良いものをと考えて取り組んでいます。
イ) 良いものというと漠然としていますが具体的なイメージはあるのでしょうか。
小出)そうですね、当社の考える「良いもの」というのは、お客様に使っていただいて
長くいいね!といっていただけるもの、自分自身が使っていいね!と思えるものです。
これがないと製品として世の中に出してはならないということです。
当社は加湿器メーカーの中でも後発です。発売当初は大手の家電メーカーさんが軒並み取り組んでいて、販売はメタメタな状況でした。そのような中でも、加湿器は寝室で使われる、寝ている間に使われるので、他社の加湿器よりは運転音を静かにするという事にこだわり、作り続けてきました。
今、それがお客様から受け入れられていて、後発ですが高いシェアを達成することができました。
(2003年に発表した加湿器「HD-5001」)
イ)ダイニチ工業さんが加湿器の製造をはじめたのが2003年です。後発ながらも2013年頃には市場で非常に高いシェア得るなど時間をかけてダイニチ工業さんの思いや熱意、やってきたことがお客様に市場に受け入れられたということですね。
田村)音へのこだわりということでは、今でこそ当たり前ですが各社のカタログでは運転音が何デシベルという数値で表記されていますが、当社が発売した当時はこのような表示はありませんでした。運転音に関しては使った人しかわからなかった。買うまではわからなかったのです。
小出)当社が初めて加湿器のカタログに運転音の数値を表記しました。その後、家電メーカーさんも追随してきて、今では当たり前のようになっています。
モノづくりのこだわり、大切な部分は外さないモノづくりをしている会社です。
イ)ダイニチ工業さんとして寝室で、寝るときに使っていただく際には自信をもってオススメできる製品を作り、それがお客様に認められたということですね。後発ながらも寝室で使われるためにはと愚直に切り開いていった結果お客様から認められたということですね。
(音の測定を行う「無響室」。
開発段階では試作して音を測定し、手直しをしてまた測定。
トライアンドエラーの繰り返しを続けます。)
本社のある新潟市南区は、夜間は車も通らず静寂に包まれます。
音を研究するには絶好の環境のなか、静音性を追求しました。
音と向き合い、ひとつひとつの課題に丁寧に取り組んだ結果なのです。
Part4に続く
ダイニチ工業がチームをスポンサードする理由と経緯をお届けします
■企業概要
【ダイニチ工業株式会社】
・創業
1964年/昭和34年
・事業内容
暖房機器(石油暖房機器、電気暖房機器、ガス暖房機器)
環境機器(加湿器)
その他 (部品、コーヒーメーカー他)の製造販売
・従業員
519名(2020年4月1日現在)
・本社
新潟県新潟市南区北田中780番地6
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